8割独り言な日記

メイプルやってるけど最近してない。欅最近過疎いよね、 小説やら半年くらいかいてない絵やらやってます。小説は三日坊主にならないようにね!

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そんなことしらんなあ

あ?げっきょさんがデレるとか、なっさんが性格違うとか、完全に内輪ネタとか、メイプルやってない人お払い箱とか、一応バトル系なのに一瞬で終わってるとか、最後らへんげっきょさんお前絶対まじめにやる気ないだろとか、その他とか、もろもろとか、エトセトラとか、全部無しでな?

それじゃあこめへんいこうか

じぇの

中々プレイだけは高度だよ!!!!!プレイだけはね!!!むすこ?なにそれ元気ないなあ!!!

お茶さん

どれを思ったかわからないけど俺も思った。


え?今から読むのは誰得?俺得 →



「ッチ、この程度のしけたメルしか寄越さねえたあ……何? 俺の事舐めてる?」
「い、いえ……決してそのような事は……」
「……まあいい、次なんかあった時は俺以外の冒険者でも呼ぶんだな」
――彼が、どのような理由で怒っているのかを、簡単に説明しておこう。
この世界では、自分ではどうしようもない不幸を背負っている人達がたくさんいる。
その不幸を変わりに背負い、幸運に変える。クエスト、と呼ばれる一種の仕事のようなものだ。
人によって不幸の大きさは様々。その難易度も様々。報酬も様々。
今回は報酬が少なめだったよう。
「ルディブリアムだったら金持ちが多いって聞いて来てみりゃ……このザマか」
「何か一発で七桁くらいもらえるのねえかなあ……」
「ちょっと退いてください! お願いします!」
「あ?」
「あ」
その出会いは偶然か、必然か。
「……ってめぇ! 何ぶつかってやがる!」
「すいません! とにかく今は逃がして下さい!」
「ああ……?」
装備を見ると魔法使い、だろうか。
その魔法使いが走ってきた方向を見ると、数匹のモンスターが迫ってきていた。
「ったく……この程度の雑魚も処理できねえのか。最近の魔法使いは」
彼がモンスターの群れに向かって、暴風がそのまま横に飛んでいるような勢いで矢を飛ばす。
数秒もすれば、さっきまでいたモンスター達は跡形も居なくなっていた。
「あ……ありがとうございます!」
「この程度でお礼なんか言われても微塵も響かねえ」
「えっと……それじゃあ、少しきてもらえませんか? きちんとお礼がしたいので」
「……まあいい」
……
……
魔法使いについていくこと十数分。
彼と魔法使いは、ルディブリアムの郊外に来ていた。
「えっと……まず自己紹介をさせてもらいますね。なっとお、といいます。聖職者、やらせていただいてます」
一般的な装備のなっとお。その見た目でいうとそこそこのレベル、らしい。
「これは、俺も言うべきなのか?」
「一応、言ってもらえると嬉しいです」
「……げっきょ、ボウマスター」
なっとおに反して、茶頭巾、靴はボロボロ、手袋にもいくらか継ぎはぎをしたあとがある。
どうみても予想のレベルで付けれるあろう装備には見えなかった。
「げっきょさんですか……さっきはありがとうございました」
「あんな雑魚に、手間取るお前が悪い」
「いやはや恥ずかしい……言い訳にしかならないんですが、治療薬を切らしてしまいまして……」
「それにしても、げっきょさんは個性的……な格好をしてるんですね」
「……ほっとけ」
「……まあ人それぞれですし。僕が無個性すぎるだけかもしれませんね!」
「ああそうだな……」
なっとお、と名乗った魔法使いがペラペラと話している。
げっきょは相槌すら面倒くさくなり、顔を上下に動かしているだけだった。
だがそれでもなっとおは満足したのか。
「ま、まあとりあえず治療薬もここに来る途中で買いましたし、げっきょさんにお礼してもう一度クエストに挑戦してきますね」
「クエスト……? どんな内容だ」
「え、あ、はい。どうやらテラスホールの地下の……歪んでる時間の道でバイキングが暴れてるようでして」
「バイキング……?」
バイキング、というと。船に乗ったモンスターで、その一族の中でも一、二を争う強さ。
そんなバイキングを退治する。なっとおはそういった。
そしてげっきょは一言、告げる。
「俺も行く。礼は報酬を八割だ。それでいいな?」
「え……?」
「俺も行く。つってんだよ。せっかく、『一言、告げる』って、かっこつけさせたんだから何度も言わせるな」
「よくわかりませんが……ありがとうございます!」
こうして。
恐らく出会いは必然。だがしかし、それからは神は手を施していない。
そんな二人が今、動き出した。
……
…………
「ここ、ここです、ここを降りればバイキングが暴れている地区に入ります」
「ここここ煩い。速く終わらせるぞ」
「すいません……」
「すいませんも言うな。謝罪は一度言うたびに価値が下がる。まだ二回しか言ってないんだからそこらでやめておけ」
「すいま……はい」
そういいつつ二人はバイキングが群がる地区に足を踏み入れる。
「oh...」
げっきょが驚くのも無理はない。
そこには、群がる……こういう表現は適切じゃない可能性すら出てくる。
蠢く。湧き出る。ほかにも表現方法はいくらでもあるだろう。
例えるなら、仕事へ、家へ、それぞれの目的に辿りつくために歩くサラリーマン達。友人と共に街を闊歩する学生。
そんな無数の人々が歩く交差点を、その上から見下ろした気分だった。
一つ違うのは、相手が人ではなく、バイキングというモンスターだと言う事。
「お前、よくこんなのを一人で相手にしようと思ったな」
「一応四次転職はしているので……ジェネシスを何回か打てば終わる程度と思ってひき受けたんですけどね……はは」
「ジェネシスって撃ったらかなり疲れるんじゃねえの」
「まあ何回も撃てば、ですが……四、五回は大丈夫ですよ」
「無駄口叩いてるならとりあえず、狩るぞ」
「えっ……、ま、まあ、わかりました」
そういうと、なっとおはバイキングの中に突っ込んでいった。
……
…………
「げっきょさん! どうして一緒に来てくれないんですか! 危うく死にかけましたよ!」
「狩る前に作戦を練るのを忘れていただけだ」
「作戦練るのは無駄口じゃないから~とかいうのはやめてくださいね」
「……」
「……」
「と、とりあえず、お前聖職者、って言ったな?」
「はい。そうです」
「じゃあお前はサポートに徹しろ。主に回復役だ」
「はい! わかりました!」
「よしそれでいい……ほら、不死鳥さん出ておいで、っと」
そういって、今度はげっきょがバイキングに突っ込んでいく。
一人で突っ込んだなっとおが、今度は後ろについている状態で。
「ほら不死鳥さんよ!! こんな屑どもら焼き尽くしちまえ!」
『げっきょさんも人使い……いや不死鳥使い荒いなあ……』
「せっかく気分のってるのに口出すな。お前はお前で楽しいんだろ?」
『ま……あ、そうなんですけど……っね!』
不死鳥が焼き。運がいいのか悪いのか。生き残ってしまったバイキングをげっきょが止めを刺す。
サポートに徹しろ、と言われたものの、なっとおは実質やることが無かった。
「……げっきょさん、すげえ……」
焼く、刺す。の繰り返し。
十数分も経てば、あれだけいたバイキングも残り一匹となっていた。
「よし……これで最後、と」
げっきょが矢を撃ち、最後の一匹に止めを刺す。
「ほら、終わったぞ」
「あ、はい……ありがとうございます……」
「どうした、報酬は俺がほとんどもらうとはいえ、クエスト、終わったんだぜ」
「いえ……俺は何もできてないな……と思いまして……」
「そうか、それは仕方ないな」
「はい…………あ、げっきょさん危ない!!」
「あ?」
なっとおがげっきょの体を横に押す。
そして入れ替わりになった、げっきょが元々いた場所になっとおが立ち、どこからか飛んできた砲丸になっとおがあたった。
「いってぇぇ……ヒールヒール」
だが、傷は癒える。
「っけ……回復できるなら元々体力の高い俺に当てりゃよかったんじゃねえか」
「いやあ……コレで一つだけできたかな、と思いまして」
「そりゃ良かったな。で、どこから飛んできたんだ、もう全滅させたはずだが」
その質問に答えるかのように。バイキングに酷似した、だが少し違う雰囲気を漂わせる、一匹が。
「アヒュヒャヒュヒュヒュ!!! バイキングは確かに全滅したな……」
「……何だお前は」
「あ、はい。私マジェスティックバイキングって言います、一応バイキング一族の長やらせていただいてます。下の者がやられたようなので確認しにきた所存であります」
「マジェスティッ……いて、舌噛んだじゃねえか屑が」
「お前みたいな呼びにくいやつは、死滅させてモンスター図鑑っぽいのから名前を消すべきだな」
げっきょは弓ひき、矢を放つ。
しかし、それをマジェスティックバイキングは軽々とかわした。
「……ッヒェッヒェッヒェ! その程度の速さで当てれると思うなよ!! 俺はなあ! 通称、マジェさんマジソニック! といわれるほどの速さをもつんだぜェィヒャヒャ!」
「……だがそうやって慕ってくれるやつらがお前らに消されたようだけどな……!!」
「いちいち気味の悪い奇声を出すゴミだなあ、耳障りだわ。それに俺は詳しくしらないが、あいつらが暴れてるから悪いんだよ」
「……とりあえず、狩る。じゃなくて、殺す。変更だ」
「ああ……げっきょさん……」
「ん……げっきょさん今から怒っちゃうから。ちょっとお前はひっこんどけ」
「それじゃ……不死鳥さん、頼むぜ」
そういい捨て、げっきょは不死鳥と共に戦いの渦中へと飛び込んでいった。
「どうしよう……どうしよう……」
あの速さを見る限り、今まで蹴散らしていたバイキングとは数段違いの実力だ。あのマジェスティッ……クバイキングと名乗るモンスターは。
さすが長を名乗るだけある。
数があったとはいえ、バイキングにすら苦戦していた自分に何ができるというのか。
なっとおは、それだけを考えていた。
諦めて観戦するのではなく、なんとかして自分も渦中へと入っていっても邪魔にならない方法。
考える。
思考する。
……ああ。
あった。いくつかあるであろう中の一つが、浮かんだ。



「っく、そ……目では見えるのに矢がおいつかねえ……」
「アヒュ! アヒュヒャヒュヒュ! 矢を飛ばすしか能の無いのな!」
「っるっせぇ、お前は黙って俺の攻撃を避けるだけの作業ゲーを延々と繰り返してろ」
とは言ったものの、げっきょが今使っている技は、気力を消費する。
ある程度回復させる道具はもってきているが、それが果てるまでに終わらせなければならない。
「ッチ……しゃあねえ、アレやるか……疲れるからいやなんだよな……」
げっきょは狙いを今までより軽く定める。
そして。
さきほどの、街で出した丁度三倍ほどの射出量の、暴風が、飛び出した。
「どう、だ? これで避けれんだろう」
移動の意味など皆無。前後? 左右? 上下? この圧倒的な矢の数を前に、そんな行動をわざわざとる必要がどこにあるのか。
「う、お、これは少しきついな。だが、もう一つ甘い」
マジェスティックバイキングは、一つ、砲丸を発射した。
ただ、それだけ。
その砲丸に無数にあるうちの矢が一本当たる。それだけで。
砲丸の爆風で、矢が全て散った。
そして、もう一つ、砲丸は発射される。
攻撃手段、更に防御手段として、壁の役割にもなっていた矢が取り払われ、完全に無防備になったげっきょの元へ。
「あーあ……疲れてんのに……これだから暴風の矢は使いたくねえっての……」
あと十メートルほどで当たる。死ぬまではいかないが、動くことは困難になるだろう。恐らく。
あと八メートル。
あと七メートル。
幸か不幸か、元々絶望を与えるようにしているのか。砲丸のスピードは遅かった。
しかし、確実に迫ってはいる。
終わりだ。
「……とかいって終わらないのが非常に残念ですね!!」
気配を感じさせずに、げっきょの前に現れた者がいた。
そもそも、気配を感じさせずに、ということができるだろうか?
できる、方法がある。
テレポート。
スピードも何もあったものじゃない、いきなりそこに現れるのだから、気配が無くて当然だ。
そして、そのテレポートというスキルを使えるのは。
「どうも、なっとおです」
聖職者、魔法使いの類だけだった。
なっとおは魔法を使い衝撃波を飛ばし、弾丸を爆発させた。
「ッヒョッヒェ、さっきまで見物人だったお前さんに何ができる?」
「そうだな、マジェスティッ……あなたを倒すことかな?」
「ッヒャヒュ……いい加減噛むの、やめないか!!」
弾丸が連続で発射される。さきほどまで避けの一手だったマジェスティックバイキングは、実は逆にこれしか攻撃方法がないのだった。
「遅いですねえ、あなたの移動速度とは変わって」
なっとおが矢、のようなモノを撃つ。げっきょとは違い数は一本。
その一本が弾丸に当たる。それの爆風がほかの弾丸に当たるとどうなるか。
矢の時と似ている。爆風が爆風を呼び、複数の弾丸は跡形もなく消え去った。
「ヒャヒュヒョエー……それちょっと、イラっときました」
「ヒャヒャ、慣性、って知ってます? 簡単に言うとですね、速く動いてる時に持っているモノを離せば、その勢いが持続したままモノが飛んでいくんです」
「つまりですね」
マジェスティックバイキングの姿が唐突に消える。否。なっとおとは逆の方向に距離をとった。
そして、また近づいてくる。
刹那。
マジェスティックバイキングの勢いに乗って、さっきとは段違いのスピードの砲丸が飛んできた。
「……!?」
なっとおは反応できず、弾丸に当たる。爆風が起きる。周りが煙に覆われる。
「ヒョエ、所詮魔法使い。補助スキルをかけていた様子もなかったようだ。これは、死んだな」
……
…………
「げっきょさんげっきょさん」
「ん……あ……、なんだよ」
「お願いがあります」
「ふん……どうせ囮か何かだろ」
「え、はい……」
「やってやるよ、ああ、やりゃあいいんだろ」
「……それじゃあお願いします。俺が不意をつくんで、げっきょさんはできるだけあいつの集中を向けてください。それじゃあまた、あとで」
なっとおがヒールをかけ、げっきょの疲労は全快とはいかなくとも、立てて動ける程度には回復する。
そしてなっとおは、煙が立ち込めている間にどこかへ身を潜めに走った。
「……へへ、ありがとよ、なっとおさんよ」
次にマジェスティックバイキングの目に映ったのは、なっとおではなくげっきょだった。
「ヒョヒャ……? 何故立っている……?」
「さあ、なんでだろうな」
「ま、次は俺がお前に、何故立っている? とか聞く状態にしてやるよ。あ、お前船のってるから立っているってのはおかしいな、まあいいや」
「ヒュヒュ……それはさぞかし楽しみだな」
再び、げっきょとマジェスティックバイキングが激突する。
(……は、あ。俺が惹き付け役だなんてあわねーの。ってか今思ったらあいつ知り合って何時間しか経ってねえのに命令とかうぜえ……)
(ま、引き受けたからにはやるか、半ばふっきれて自分から請け負ったのもあるし)
そんな思惑を抱えながら、げっきょはバレない程度に演技を続ける。
「やっぱスピードだけだなお前。さっきあいつにやったの見てたけど、アレわざわざ遠くにいかなきゃならんからすぐばれるし、意味ねえだろ」
「ヒョヒョ! あの技がなくてもお前なんか一捻りよ! 一度負けた分際でそんな口、よく叩けるのな!」
「あ? どうやんの? 砲丸以外能のない屑が? 教えて? ねえ、教えてよ?」
「……ヒャヒィヒュヒョヒェー! いいですよ! のってあげます! その挑発に!」
そういうと、マジェスティックバイキングは避けをやめ、一気にげっきょとの距離を詰めていく。
十メートル程度。三秒もかからない。
「よし、ありがとう、これでお前は攻撃しかできなくなった。挑発だけにな。三ターンだ。つまり、避けんの、お疲れ」
げっきょは戦闘態勢を解き、安心したように薄ら笑いを浮かべた。
「ヒョヒョ、ヒャ?」
突如、マジェスティックバイキングの頭上に違和感が現れる。
明るい、何か光源がある。その正体をマジェスティックバイキングが突き詰めようと、振り向いた瞬間。
その振り向いた顔にジェネシスの光線がヒットした。
それも一発ではない。五。十。十五。
「えっ……と、広範囲じゃなくて、狭範囲で連続連続……」
ほぼ同座標に極太の光線が次々と現れ、マジェスティックバイキングへと向かって落ちていく。
「ッヒョ、ッヒェ、あひ、あひひ」
「そろそろ辛い……これで最後だ」
少し、とはいっても一秒ほどの間が空き、マジェスティックバイキングの横幅を上回る太さのジェネシスが、落ちる。
「ッヒャ」
ジェネシスの光が消えた時、既にそこには、マジェスティックバイキングは存在していなかった。
「ったく……俺まで死んだらどうするんだ」
「一応聖職者の技ですし……悪っぽい思考をもっていなかったらあんまりダメージはないんじゃないんでしょうか?」
「俺ちょっと痛かったぞ……」
「それはげっきょさんが悪いです」
「……ふん、まあいい。適当にこの話も手土産にしたら報酬が増えるかもしれん」
「結局、そこに辿り着くんですね」
「当たり前だ。元々俺とお前を繋ぐ糸はこれだけだからな」
「……寂しいです」
「じゃあ報酬をもらいにいくまでの間、歩いてやる。それでしっかり俺を目に焼付けでもするんだな」
そう言い、げっきょはテラスホールに戻るため、歩き出した。



「ヒョエー!!!!!! あのマジェスティックバイキングも倒しちまったのかい!!」
「じいさん、アレ噛まないで言えるってすごいな」
「ホッホッホ。伊達にルディブリアム主催の滑舌コンテストの一位を二十年間守り続けてるわけじゃないぞい、村長としての威厳もあるしのお」
「俺はそんなコンテスト知らん……とりあえず報酬よこせ。メル」
「待て待て……あのマジェスティックバイキングを倒したって事は、お主ら相当の手馴れじゃな?」
「まあ自分で言ったら恥ずかしいけど……そこらのへっぽこよりは強いとは思ってる」
「俺は微妙な所ですけど……一応倒すのに協力しましたよ!」
「そうか……そんなお主達に頼みごとがある」
「おいおいじいさん、まだあるのかよ」
「もちろんタダとはいわん。どうだ、五百万メルでどうじゃ。それにプラス治療薬を買うためのメルも支給しよう」
「のった」
「げっきょさんがいいなら俺も行きます」
「ホッホッホ。ノリの良い若者は好きじゃぞ。それじゃあ本題に入らせてもらおう」
「マジェスティックバイキングが居た方向とは真逆に居るモンスターなんじゃが……」
「G.ファントムウォッチというんじゃがな。テラスホールの地下一帯は、マジェスティックバイキングとG.ファントムウォッチの二極じゃった」
「張り合ってるといったら可愛いもんじゃが、時々地上やテラスホールにも影響が出るんじゃ。だから、もう、ついでに」
「殺っちゃってくれ」
「更にのった。じいさんいい性格してるじゃねえか」
「俺は物騒なのはあまり……」
「てめえが一番物騒なスキルもってるくせによ」
「他のタイプの方がひどいですよ? ブリザードとか、メテオとか。あんなの災害レベルです」
「そうかよ……まあ、糸が太くなって、良かったな」
「……はい!」



一晩明け、朝。
げっきょとなっとおは村長から支給されたメルで、フリーマーケットと呼ばれる市場に売り出されている装備を見ていた。
「うお、これ高いな、けどギリギリ買えるかな……?」
「治療薬代考慮」
「……諦めます」
「そもそも、治療薬買ってからこればよかったのにお前阿呆じゃねえの? ってか装備買う分はもらってないんだし、元々無理があるようにしか思えないんだが」
「だって……せっかくの臨時収入ですし……コレを機に一つでも買い換えようかなあって」
「げっきょさんも、一つくらいどうですか?」
「………………いらねえ」
「そうですか……あ、これなら買えるかな」
「……うお、これ市販のより安いんじゃね」
「げっきょさんもなんだかんだで買い物してるじゃないですか」
「俺はルディじゃ売ってない薬探してんだ、それだけだよ」
「そうですか」
……
…………
フリーマーケットで装備、治療薬を見ている二人が、時間を忘れ既に日が傾いていた頃。
「うおー結局最初の買ってしまったー」
「っけ……バイキングの方の報酬があるってことを忘れていただけだろうが……」
「まあそれもありますけどね。けど途中からげっきょさんも珍しいのがあるーとかいってはしゃいでたじゃないですか」
「……ッ! アレはマナブルっていう秘境でしか取れない薬が低価格まとめ安売りセールをしていたからだな……!!」
「何個か意味被ってますよ」
「……気にするな!」
「……まあ、今日は仕方がない。もう夕暮れだ、地下へ行くから正直時間は関係ないが、休む。俺は休む」
「そうしますか、村長もあんまり急がなくていいっていってましたし、明日にしましょう」
「そうすると言ってるだろう」
「ええ、そうしましょう」
「ああ、そうするか」
「「……」」



太陽さんがおはようさんして、起きると共に小鳥の囀りが聞こえたら、素敵な環境に住んでるなあ、としみじみ思える時間帯、早朝。
「ホッホッホ、若者達よ起きなさい、朝じゃぞ」
「あ……? じいさんうるせえ……ってか動けないしこれは金縛りだな……よし……解けるまでもう一眠りだ……」
「残念じゃが金縛りではないのお、強いていうならなっとお縛りじゃ」
「あ……? ……あ!?」
ベッドは二つ。もちろんげっきょとなっとおはそれぞれの寝床に就いていた。
しかし、何があったのか。故意か、偶然か、なっとおの寝相の悪さか。
「ってめ! 離れろ!」
「……あと一時間十二分七秒で十時になるからそれまで待ってください……」
「お前実は起きてるだろ! 早く離せ!」
げっきょが取り払おうと力を入れるも、なっとおはげっきょの胴回りを掴んで寝たまま目を覚ます気配はない。
「ホッホッホ、仲のええ若者は見ててつい笑みがこぼれるものじゃのお」
「笑みじゃなくてこいつを俺のベッドからこぼしてくれよ!!」
「上手いこといったつもりじゃろうが、あんまり上手くないから放置じゃ」
「っ……! お前このクエストが終わったら殺してやる……!」
結局、なっとおが十時ぴったりに目を覚ますまで、げっきょは胴回りに錘を抱えながら、準備や食事をしたのだった。
……
…………
「あ、おはようございますげっきょさん」
「死ね」
「え……それは朝一番にそれはひどくないですか!?」
「知るか、お前の所為で無駄に足腰が鍛えられたわ。五十kg程度の錘を引きずりながら歩きまわるなんてよ」
「げっきょさんそんなトレーニングしてるんですか? すごいですねえ」
「その錘はお前だ! 謝れ! 討伐しに行く前から既に足腰が限界の手前に来ている俺に謝れ!」
「すいません……」
「……ふん、まあいい。実際一時間十分くらいしか歩きまわってないからな」
「それでもすごいと思いますよ?」
「……そうかよ、とりあえずさっさと支度しろ。ぱぱっと終わらせるぞ」
「はーい」
……
…………
「ふう、テラスホールをひたすら駆け下りるほど作業と感じるものはないな」
「タクシーもあったんですけどね……」
なっとおが言うとおり、テラスホールを降りるのは少々時間がかかるので、ルディブリアムにはタクシーが配置されている。
もちろん、有料。
「あんなもんに金かけるくらいなら、一日コンビニに篭ってスパイシーなチキンを食べ続ける方が有意義だわ」
「そうですねえ、俺はスパイシーなチキンより、スウィーットキッス隠し味として練乳いれてたらいつのまにか九割が練乳だったでござるケーキの方が好きですけど」
「うぇ……あんな甘いのよく食べれるな。お前、味覚おかしいんじゃね?」
「甘党なんですよ」
雑談をしながらもテラスホールを降りていく。
この前とは違い、バイキング達がいる地区ではなくその逆方向に位置する、主にデスマリオネットや、ファントムウォッチの一族がいる地区だ。
「なあ」
「何ですか?」
「バイキング達はなんと言うか、速さしか能のない屑だったけど、その……G.ファントムウォッチってのはどんなんなんだ?」
「僕もあんま知らないですけど……魔法使うみたいですよ?」
「そうか……じゃあドラゴンタイプがいいな……」
「へ?」
「お前も魔法使うだろつまりドラゴンタイプ同士だと効果抜群なんだよいわせんな恥ずかしい」
「よくわかりませんが……魔法の耐性とかは魔法使いだからってあるわけじゃないですし、あんまり期待しないでくださいね」
「元々期待してねーよ」
「そうですか……」
「……と、ここか?」
げっきょが一つ区切りのようなものを踏み越えると、デスマリオネットがいる地区に入る。
『ざわ……ざわ……』
「なんかざわざわしてるぞ?」
「してますね」
「弓に……魔法使い……弓の方は……茶頭巾……あの二人組か……」
「どうやらマジェス……を倒したのが噂されてるようだな」
「モンスター達の間でも噂ってあるんですねえ」
「ま、俺達が殺るのはG,ファントムウォッチだけだがな。こっちは呼びやすくていいや」
「!? あのGさんを殺るだと……」
そこ時、一匹のデスマリオネットが、二人の前に近づいてくる。
「そこのお二人さん、あんたらGさんを倒そうってのかい?」
「あ? 文句あんのか」
「いや別にないけどさあ……逆に殺られるぜ?」
「あんな速いだけの屑と張り合ってた程度の実力でよく俺らを殺るとかいえるな」
「何いってるのさ……あんなのと張り合ってたのは、Gさんの一つ下の位のただのファントムウォッチ、通称只野さんだぜ?」
「只野さんって、一気に親近感あがったな」
「それに、二匹目の敵は裏ボスがいるってのもよくある設定です」
げっきょとなっとおは、忠告をしたデスマリオネットの横を通り抜け、更に奥へ進んだ。
「はぁ……まあいいか、人間そんな好きじゃないし」



どうやらデスマリオネット達は、争う気は無いらしく二人を簡単へ奥へと入れていく。
「あいつらわかってるじゃねーか、さすがだ」
「そうですねー」
……
…………
何かおかしい。
どうも、上手くいきすぎてはいないか?
確かに、デスマリオネット達はバイキングとは違って凶暴な性格でもなさそうだったし、張り合ってた相手がやられるくらいの実力者だから怖気づいて当然だ。
だが、自分達の大将の首が取られに行くのをただ見てるだけなのか?
そんな違和感を感じながら、げっきょは歩いていた。
「なあ、こんままGさん倒しても何か釈然としなくね?」
「なんつーか、上手くいきすぎてるっつーか……」
「ってかむしろここどこだ? 明らかにさっきまでいた空間と違うだろ」
「お前もそう思わね?」
「……おーい」
げっきょの中で更に違和感が大きくなる。
恐らくここは、見た目だけではない。ここは既に相手が何らかの手を施した場所。
更になっとおの返事がない。目の前にきちんといるのに。
「どうしたんだ? おーい、なっとおさんよ?」
「おーい……おーい……ッ!?」
瞬間、なっとおから攻撃が放たれる。
「危ねえだろ! 何しやがる!」
「……」
返事は無い。
「あーん……? そういや魔法使うとか言ってたな……幻覚か、操りか?」
「ま、とりあえず様子みるか……」
そういいげっきょは、避けに徹した。
なっとおの攻撃は容赦なく続く。
魔法を使い、発動してからのラグがほとんどない攻撃が来る。
もし魔法の範囲から外に出ても、テレポートですぐに距離を詰められた。
「……こいつ以外と強かったんだな、避けはやめて気絶でもさせるか?」
「だけど近づけねえな……弓で殴ったら早いんだけど」
考えている間も、なっとおの攻撃は続いた。
避ける。矢を当てれば問題ないのだが、それをすると致命傷になりかねない。
まだ本題が残っているというのに、もし操られているだけなら、仲間討ちになる。
だが、できるだけ無傷で終わらすには、あまりにも機動力が違いすぎた。
「……は? ジェネシスとかお前冗談きついぜ」
「……」
刹那、広範囲に渡り光線が降り注いだ。



「……げっきょさん?」
一方、なっとおは、突然しゃべらなくなったげっきょと歩いていた。
「どうしたんですか? いきなり黙って。お腹でも痛くなりました?」
「げっきょさーん」
「げっきょさぁん」
「げっきょさん♂」
「……なっとお」
「え? ……はい」
「俺は、なっとおが」
「何ですか気持ち悪い」
「嫌いではない……」
「典型的なツンデレの意思表示やめてください」
「……」
「うわああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!!」
げっきょが逃げるように駆け出した。なっとおを置いて。
「え? げっきょさん? ちょっと!」
「…………どうしよう」
唖然。
何故、いきなりげっきょが逃げ出したのか、そもそも何で告白まがいの事をしてきたのか。
最初の目的、討伐を忘れ、その事で頭がいっぱいになった。
困惑。
足が止まる。
頭で考えることが、洗濯機のように回る。同じ事ばかりループする――
……
…………
「…………い……」
「……お……い……」
「……おい、なっとお、起きろ!!」
「ん……あ……」
「っけ……やっと起きたか。お前朝も思ったけど寝つきよすぎだ。何分待たしてんだよ」
「あ……っは!!」
「どうしたんだよ」
「いや……げっきょさんがいきなり……」
「なに言い淀んでんだ、早く吐け」
「……大丈夫です」
「あ? ……まあいいわ」
「とりあえずどうなってるんですか? さっきから頭が沸騰しそうなくらい混乱してるんですけど」
「まあお前は俺に殴られて寝たからな……説明してやる」
げっきょの説明はこうだ。
なっとおも見ていたであろう事は、ここにきて数分たってからかかった幻覚。
そしてその幻覚は十中八九、G.ファントムウォッチによるもの。
げっきょはなっとおに攻撃される幻覚をみていた。
「お前は?」
「僕は…………」
「やけに丁寧にしゃべるげっきょさんでしたね……」
「普通気づくだろ……」
「そういえばげっきょさんはどうやって幻覚って気づいたんですか?」
「お前が攻撃してきたら普通気づくだろ……」
「……まあ、お前がジェネシスを使ってきたんだよ」
「で、それに掠った。痛かったね、服が燃えたくらいだ。まあ幻覚だったから今はなんともないが」
「まあ、無駄に精巧な作りなようで? 避け続けてたらお前が勝手にぶっ倒れて、こっちに戻ってきた。お前の体力まで考慮してるくせに、ジェネシスは痛かったがな」
「んでだな、ぽかんとしてるお前の頭を殴って、起きるのを待ってたわけだ」
「もうちょっとマシな起こし方なかったんですか……」
「あ? 耳元で好きですとかいったら起きたのか?」
「っ……! それなら殴られた方がマシでしたね。良かった良かった」
「何だ今の間は。まあいい、この先に扉があった、ご丁寧に待ってくれてるようだぜ」
そういい、げっきょは扉の方へ歩いていく。
「そうですか……さっさと終わらせちゃいましょう」
そして、なっとおが扉の前に来ると同時に、げっきょが扉を開けた。
「……やっときましたか。遅かったですね」
そこには、時計のような形をしている錘と鎖でつながれた、青い霊魂のようなモノがいた。
顔から頭にかけて継ぎはぎが施されており、頭に角が五、六本生えている。
「あんたがGさんか、確かに無駄な事をしてくれたお陰で無駄に無駄な時間取っちまった。無駄だらけだ」
「余興みたいなものです……あなたたちを返り討ちにあわすためのね」
「ふん、知るかそんなもん。俺はメルがほしいんだ、さっさと死ね」
「最近の冒険者はそんなことを言うんですか……昔はこんな、無駄な鎖で縛るのがせいぜいだった、貧弱な人間どもが……」
「やっぱGさんは無駄が好きなんだな。自分のアクセサリーに無駄をとりいれるなんてなかなかできねえぜ?」
「……あなたの装備は、強さを目的とするならば無駄だらけに見えますが?」
「…………強さを目的にしてねえからいいんだよ。そもそもその、昔の貧弱な人間どもの鎖に縛られてこんな所で細々と暮らしてるお前に言われたくねえ」
「私はもう年なものでね、下のものに任せているだけです」
「それは言い訳でいいか?」
「ご自由に」
「んじゃ……言い訳ってのは大体何かやらかしたあとにするもんだ。順序が逆になっちまったが、俺が今からしようとすることをやっちまったら、Gさん言い訳できなくなるしな。今のうちにいっとけ」
「おやおや、何をなさるつもりで?」
「単純明快、単刀直入」
げっきょは、それまでの相手を挑発するような体勢、声を消し、晴れ晴れとした声で告げる。
「Gさん。あんたを、討伐させてもらう」
「……え、げっきょさん!?」
「あ? なんだよ。元々そのためにきたんじゃねえの?」
「そうですけど……何か作戦あるんですか?」
「今の所ねえなあ、お前が寝てる時に考えてもよかったんだが、何となく俺一人はお前が得なようでいやだったから」
「どんな理由ですかそれ……」
「ですかそーれって、ペスカトーレとニュアンスにてるよね」
「確実に今思いついたネタ挟むのやめてください。Gさんご丁寧にまってくれてますよ?」
「ああ、そうだったすまん」
「……おしゃべりは終わりましたか?」
「ああ、よく待っててくれた。戦隊モノの変身シーンとかの間に敵が待たなきゃいけない気持ちがわかったろ? 最後にいい経験したじゃねえか」
「ええ、そうですね。あなた達も戦隊モノの変身シーンで待っててもらえてる経験しましたね。最後に」
「即効でパクるとは上等だあ……」
「そろそろしゃべりすぎて顎が痛くなってきたころだ。始めるか」
「ええ、いつでもどうぞ」
「それじゃ、試しに……っ!!」
げっきょが弓を引き、矢を一本撃った。
げっきょが撃ったその矢は、G.ファントムウォッチの目の前まで飛び――弾かれるように落ちた。
「何かバリアーみたいなものがありますね……」
「確かに……みりゃ分かるけどな」
「それじゃあ……、次は俺が。何使おうかなー」
「お前、それ遠まわしに矢しか選択肢がない俺を侮辱してるだろ」
「そんなことありませんよ。あ、これでいいや」
なっとおがそう言った時、なっとおの背中から翼が生える。
「は? お前それは格好よすぎるだろ」
「けど攻撃にしか使えないんですよ? 空とか飛べたらいいんですけどねえ」
「まあ早くしないと消えちゃうんで……攻撃してみますか」
なっとおの背中から生えている翼が膨張し、G.ファントムウォッチの方へ伸びていく。
翼の先がG.ファントムウォッチに当たろうとした時。膨張していた翼が萎み、やがて消え去った。
「どうですか? 私自慢のバリアーは」
「本来そんな機能ねえくせに無茶しやがる」
「褒め言葉として受け取っておきます」
「……に、しても」
「ええ。本気を出してないとはいえ、バリアーとは小賢しい」
「……なあ、Gさん」
「なんです? ここまで待っててあげてる敵も珍しいと思いますが」
「お前のそれって、攻撃してるときは自動的にオフになっちゃう素敵なバリアーじゃねえの? だから待つしか方法がないんじゃ」
「……っ!? そ、そんなことありません!! 私のバリアーはそんなヘタレバリアーじゃありませんよ!? 完全無欠です!!」
「今の反応はだな……昔がそうで今もそうか、元々鎖に縛られてる長い年月の間に編み出したけど完全じゃないんですー、とかそんな感じだな?」
「……ふふふ……あはは! はははははっははっはっは!!」
G.ファントムウォッチが耳に残る甲高い声で笑い出し、一通り笑った後に、諦めたようなニュアンスで口を開く。
「ああそうです、そうですとも!! 私のバリアーはヘタレですよ!! 他の魔法使ったらふてくされて消えちゃうヤツですよ!!」
「守ってる時はどんな攻撃でも無効化するんですよ!? それで相手が勝手にぶっ倒れるんですよ!? 便利ですよね!!」
「けどあなた達はなんですか? ちょっと攻撃したらすぐ見抜いて!! モンスター型の敵はほとんど無口っていう幻想をぶち殺した私が悪いんですか!?」
「大丈夫だ、バイキングの方もぺらぺらしゃべってたからな」
「論点はそこじゃありません!! 大体ですねえ……」
「すまん、Gさん」
「何ですか!? 今からあなた達討伐者が、敵と会話するのがどれだけやっちゃいけないことが小一時間語り尽くしてあげますから黙ってなさい!!」
「いや、論点はそこでもなくてだな。Gさんも分かってるように、俺らあんたを討伐しにきてるんだよ」
「だからさっさとやられてくんね?」
「えー……げっきょさんそれ言う? せっかくGさん盛り上がってたのに」
「けどさ、このままだと埒あかないし本当に小一時間語られそうじゃね?」
「まあそうですけど……Gさんが攻撃しない間は俺らもできないんですよ?」
「確かになー」
「確かになーって……ほら、Gさん機嫌悪くしてるじゃないですか。ね? Gさん」
「そうですね……あなた達討伐者でしたね……私も言っておきながら忘れていましたよ……」
「忘れてたのかよ。んま、思い出したならそろそろまともに戦おうぜ?」
「そうですね……見破られた今、バリアーの弱点を隠す必要もないわけです……し!」
G.ファントムウォッチが話し終えると同時、姿が消える。
「……あ!?」
「え……げっきょさん?」
G.ファントムウォッチが消えたとほぼ同時に、げっきょの姿も消える。いや、消えたのではない。前に吹っ飛んだのだ。
「ぐ……は……」
十メートルほど地面と平行に飛び、その後はバウンドを繰り返し、止まる。
「大丈夫ですか!? げっきょさん!!」
「あ……? 十メートルくらい余裕で飛べるわ……ひらひら~っとな」
「……一発で朦朧としてません?」
「気のせいだ」
「……とにかく、あいつ。強いな」
「……ええ」
「どっかいったし……」
「恐らく身を潜めてるんでしょう」
「だな……休憩ついでに探すか」
「出てくるとは思いませんが……あ、作戦も立てましょうよ!」
「おお、いいなそれ」
……
…………
………………
G.ファントムウォッチが消えてから数十分。
げっきょとなっとおは――座り込んでいた。
「あーもうだるい。帰る? なあ、帰る?」
「俺も帰りたいのは山々ですけど、一応クエストですし……もう一度くるの面倒くさいですし……」
「けどさー、あいつ一発俺に当ててから何も音沙汰ないぞ? 逃げたんじゃね?」
「現時点では逃げてますね、けど何か仕掛けてると思うと怖いです。ピンクの魔人だって、合体解けるの待ってたくらいですし」
「誰だよ……まあ仕掛けだろうな。ここら一帯は私のテリトリーです!! とか言いだすんじゃね?」
「一分毎にしゃべれる言葉が減っていったりしそうです」
「え、何それ。やってみようぜ」
「かまいませんけど……」
……
…………
………………
「わん! わんわんわん!」
「わをーんわをーん」
「……をん!」
「んー! んー!」
「何だよそれ、配管工のおっさんの邪魔してる青い石かっての」
「あ、げっきょさんの負けですよ」
「うぇ……本当だ」
「……ってか、もう何時間たってるんだよ」
「濁点は無しにしましたから……一応最後まで行きましたし、五十分くらいですか?」
「それじゃあ合計でニ、三時間くらい経ってんじゃねえか……帰ろう」
「え? 帰るんですか?」
「日を改めましてご討伐させていただきます。ってどっかに書いときゃいいだろ」
「そんなもんですかね……俺もさすがに敵の本拠地で寝るのは嫌ですし、帰りますか」
「え……もうそんな時間なのかよ……確かに寝てたら本気で襲われそうだしさっさと帰ろうぜ」
「そうですねー」
そして二人は歩き出す。
どこかわからなくなった出口に向かって。
「……」
「……」
こつこつ、と靴が地面を踏む音だけが響く。
帰る、と決めたからか、二人の間に会話はない。
ただ、歩く。
恐らく、来た道である方に。
「なあ、一つ聞いていいか?」
「奇遇ですね、俺も聞きたいことがあったんですよ」
「一緒に言ってみる?」
「それは名案です」
「じゃあ……せーのっ」
「ここどこ」「でもそーんなんじゃやーだ」
「え?」
「あ、すいません……つい反応してしまいました……」
「ま、まあ俺も、ここどこ。とは思ってましたよ」
「本当かよ……とりあえず俺ら、確実に迷ったな」
「ええ……出れる気がしません……」
「一回、十年くらい旅でてるのに一向に老いる気配がない奴を参考にして、不死鳥に偵察いってきてもらうか」
「お、いいですねそれ」
「というわけで……不死鳥さん出ておいで、っと」
『え、げっきょさんこのタイミングで呼び出します?』
「あ? 何だよ」
『今丁度、競馬の一位が決まる瞬間でした……個人的にはダイナマイトブルーに勝ってほしいですね……』
「お前赤いくせに青いの応援するのな……」
『競馬は好みじゃありません。倍率と人気とその他もろもろの運要素が絡みあって……』
「わかったわかった。俺は競馬する予定ないから。とにかく、頼み事がある。ってか元々それのために呼び出したんだよ」
『そういえばそうですねえ、ちゃっちゃと終わらせるんで、ぱっぱと言ってください』
「おう。えっとな、ここさっきから歩いても歩いても出口ねえの。だから探してきて?」
『えー……』
「露骨に嫌そうな顔するなよ。お前ならそっちの世界戻って、もう一度召還すれば帰ってこれるんだから」
『しょうがないですねえ……いってきます』
「おう、それでいい」
飛んでいく不死鳥を見送るように、げっきょとなっとおの二人は空を見る。
と、その時、空に違和感があることに、げっきょとなっとおは気づく。
正確にはその時からじゃないかもしれない。
とにかく、二人が見上げた空は、飛び立った不死鳥のように赤く、それがどこまでも続いていた。
「え、何これ。明らかに違う場所だろこれ」
「そういえば最初、入って幻覚かかった時にも、空間変わってましたね」
「あー……空間変わってます。それも二回です。私を倒さないと帰れませんパターンか」
「そのようですねえ……舞台も変わりましたし、さすがに出てこないと厳しいです」
「呼びました?」
「うお、唐突だな」
「お待たせしてすいませんねえ……いやあ、バリアーが意味ないと分かった以上、組み込む必要は無いと思いまして。魔法で攻撃タイプってのに変身してたんですよ」
「変身は別に構わんが、待たせすぎだ」
「光って次みたときは、変身してるくらいの速さで次からやれ。あ、次はないか」
「相変わらず減らず口ですね……初めて会話したのが三時間程前ですが」
「そっちもしゃべるの後悔してんじゃねえの? さっさとはじめようぜ」
「そうですね……そろそろ俺もお腹減ってるんですよ……」
「二人とも準備はよろしいようで。それでは始めますよ?」
「あぁ」
「いつでもどうぞ」
「それでは、遠慮なく」
刹那、空から大量の氷柱が落ちてくる。
数は大よそ二十。
「俺の火矢で消せるか……?」
そういい、げっきょは先端に火を帯びた矢を、空に向かって撃つ。
矢が氷柱に当たると、火は一気に肥大化し、空一面を覆い尽くす。
少し経つと、火によって溶かされた氷が、液体として地面に落ちてきた。
「さすが唯一の火属性」
「げっきょさん、それは俺がやることないんじゃないですか?」
「お前はGさんに攻撃でもしとけよー、俺はこっちの方が楽だわ」
「仕方ないですね……ちょっと本気出します」
突如、なっとおの姿が消える。
なっとおが次に現れたのは、G.ファントムウォッチの目の前だった。
「別に魔法出すのに呪文とかいらないけど……食らえ」
なっとおは矢を一本、魔法の力で作り出す。
それを強くひき、G.ファントムウォッチの腹に向かって撃った。
そして、貫通、までとはいかないものの、G.ファントムウォッチに深く突き刺さる。
「ぐ……お……さすがに、今までほとんど攻撃を与えられたことがないので、これは厳しいですね……速く終わらせますよ」
そういうと、G.ファントムウォッチは再び氷柱の雨を降らせた。
その量は、先ほどのニ、否。三倍ほど。
「あんたなんで学習しねえかなあ、量を増やしたんなら、俺も撃つ回数を増やせばいいんだよ」
げっきょは軽い調子で、空に向かって、三回、先端に火を纏う矢を撃った。
「あなたこそ、馬鹿ですね」
「何?」
「確かに氷柱ではダメージを与えることができませんね」
「ですが、それが溶けた時の水量、考えてますか?」
「……あ」
G.ファントムウォッチが問いかけた時。雨、ではない。雨というのは、一つ一つが粒になってるからこそ雨なのだ。
言うならば、海の一部をそのまま切り抜いてもってきた。雪崩が雪じゃなくて水だった。
そんな量の水が、一気に降り注ぐ。
「やべ…… これは溺れるな……」
「げっきょさん! 考察なんかしてないで俺の手を握ってください!」
「……あ? よく分からないけど分かった」
テレポートを使い、げっきょの近くまで戻ってきたなっとおは、げっきょの手を掴みとると、再びテレポートを開始した。
それと同時、げっきょが居た場所に水が流れ込む。
「う、お、すげ」
「ちょっと黙っててください! 今逃げてるんですから!」
「けど、さ、この、一回、一回、消える、感じ? 新感覚」
「そうなんですかー、俺はもう慣れましたよー」
「いいなー、俺も、欲しかっ、たなー、こんな、の」
「それはしょうがないですね、魔法使いの特権ですから」
「とにかくここ、無駄に広いですから逃げ続けてたらそのうち終わりま……うお」
なっとおがテレポートを繰り返し、百メートルほど移動すると、勢いのあった水流が少しずつ弱くなる。
「……よし、今のうちに」
「oh...お前足速いな」
「足は速くないですよ、テレポートが便利なだけです。換算して時速二百kmくらいらしいですけど」
「どこぞのレズなツインテールよりおそ……っ!?」
げっきょが最後まで言いきる前に言葉が遮られ、G.ファントムウォッチの魔法によって出された氷柱によって、体が宙に浮く。
「おやおや……戦闘中ということをお忘れでしたか?」
そして、その氷柱を野球のバットのように使い、浮いたままのげっきょの体を吹き飛ばした。
「言ったでしょう? 今は戦闘中だって」
「あなた達が逃げている間に、先回りすることなんか容易いんですよ。なのにペラペラと」
「あのー……Gさん? ありがとうございます。Gさんこそペラペラとしゃべってくれて」
「ちょっと、爆発しますよ?」
「へ?」
G.ファントムウォッチがなっとおの方を見ると、なっとおの足元から半径三メートル程の、魔方陣が展開されていた。
「それでは」
なっとおの杖全体から光が漏れ出し、なっとおを中心に大爆発が起きる。
例えるなら、原爆。
この空間には何も無いが、街中で放てば、恐らく大惨事になるであろう、威力。
爆風と煙が散乱し、視界が奪われる。
「はっ……気でも使ったのか? 俺が吹っ飛ばされた直後にやるなんてよ……」
「それもありますけど、これ、ちゃんと魔力練らないと大した威力でないんですよ。Gさんが無駄にしゃべってくれたお陰で、予想以上に爆発しましたけど」
「……そういやGさんどうなの? 死んだ?」
「見えませんねえ……煙がひくまで待ちましょう」
「そうだな……」
待つこと、十数秒。
視界がほとんど元に戻り、げっきょとなっとおは辺りを見渡す。
少し探すと、やがて二人は一つの場所を見つめ、呟く。
「お前これはひどいんじゃね……? ほとんど原型ないぞ」
「超近距離でしたからね……仕方ありません」
そこには、熱で溶けてしまったのか、液体のようになったG.ファントムウォッチの体。
G.ファントムウォッチと時計のような錘を繋いでいた鎖が溶け、G.ファントムウォッチの溶けた体と反応しているようにも見える。
「が……ごぎ……まだ……終わらん……」
「まだ話せるとかGさん半端ねえ」
「終わらせ……るわけ……にはいかん……」
「けどそんなので何ができんの? 俺なんもやってないし、俺が終わらせて良い?」
「いいじゃないんでしょうか……?」
そうか、じゃあ終わらせる。とげっきょが応答し、弓をひいた直後。
「ががごごぎごがぎごぎががががっがあがが!!!」
G.ファントムウォッチが、音にもならない声を出し、その体から、なっとおの爆発する直前にも似た、光が漏れ出す。
「げ……こいつも自爆かよ!!」
「俺は自爆じゃありません!!」
「……っふ……死ぬ前の人間が無駄に長生きするように、過去の話をさせてもらいましょう……」
「……は? どうしたのGさん」
「……無駄に光っていますけどぶっちゃけこれはフェイントです。これを話し終わったら好きにしていいですから……老いたモンスターの遺言ですよ……」
「……さっさと言えよ。俺は気が短いんだ」
「……これだから最近の冒険者は……まあいい、どうせ最後ですから」
そして、G.ファントムウォッチは光りを放ちつつ、語りだす。
「知ってますか? 私のようなモノが生まれた理由が」
「――私がまだ若かった頃……あなた達の感覚で言うと、二千年ほど前でしょうか……」
「人間が、攻めてきたんです。ここにね」
「私達の一族は必死に戦いましたよ。ええ、戦いましたとも」
「いい訳にしかならないでしょうが、相手は数が違いすぎました。こちらの十倍はいたでしょうか」
「もちろん、といったら悔しいですが、負けたのです。私達は。といっても、生き残ったのは私だけでしたが」
「そして、昔の冒険者達は……私達を悪者にしたてあげ、この空間を封印しました」
「当時の外の様子はわからないですが……相当の英雄扱いでしたろうね」
「やはり恨むものです。幸い、時間の進行を封印する。という内容でしたので、時間はたっぷりありました」
「そして、強くなるために。魔力の錬成を続けました……顔が壊れました。頭から突起がでました。理由はわかりませんけどね、恐らく限界を超える魔力の副作用でしょう」
「その錬成し続けた魔力を使い……ファントムウォッチや、デスマリオネットを作り上げたのです」
「錬成している間に、封印も緩くなっていたようで、簡単に外に出ることができました」
「私達は、ただ、普通に暮らしていたかっただけなのです」
「……ふふっ、これは死にかけでしゃべり続ける長さでギネスを取れそうですね」
「良いたいことはそれだけか?」
「……ええ、もう疲れました。あとは私の子ども達に任せます」
G.ファントムウォッチが、目を閉じる。
「……Gさん、あんたとしゃべるの、楽しかったぜ。ほら、不死鳥さん仕事だ」
『お、げっきょさん聞いてくださいよ、出口いくら探しても無いんですよー…………あら、シリアスな雰囲気』
「わかってるんなら早く終わらすぞ」
『はいはい』
不死鳥に告げ、げっきょは改めて弓をひき、撃つ。暴風の矢を。
何本も、何本も。
G.ファントムウォッチの懺悔、後悔、恨みを一つずつ射抜くように。
「……じゃあな」
「……ええ」
『それじゃあ、……さようなら』
不死鳥が火を吹き、既に暴風の矢によって、塵と化しているG.ファントムウォッチを完全に焼ききり、G.ファントムウォッチは存在を消した。
「お……景色が戻っていく」
「景色が赤いわりに、攻撃が氷柱でしたし、なんの伏線でもなかったですね」
「ばっか、それいうなし」
「……そうですか」
「さて、帰るぞ。次のクエストもあるんだからな」
「……ええ!?」
「そりゃさ、ルディブリアムの地下に、二強がいたんだろ? じゃあその後ろに更にラスボスいるにきまってんじゃん」
「確かによくあるストーリーですけど……」
「それに、ここくる途中に見えたけど、まだ奥の道あったしな。アレ明らかにラスボスフラグ」
「……まあ、そこそこがんばりましょう」
「おうよ」



「ヒョエー!!!!!! もう! 村長心配しちゃったんだから! 夜まで何してたの!!」
「主にメタなネタの掛け合いと、言葉減っていくゲーム」
「そうか……最近の若者の趣味はわからんのう」
「結構面白いんだぜ、今度やる?」
「ホッホッホ、やめとくぞい」
「ところでじいさん、まだ何かあるんだろ? さっさと吐け」
「ううむ……やはりばれていたか……」
「うわあ、本当にラスボスフラグ建っちゃいましたよ……」
「あんな中途半端な二強倒してもすっきりしねえからな」
「Gさんはまともに戦闘した覚えないですけどね」
「わかっておるなら、ぱぱっと本題に入ってしまうぞよ」
「おう、ぱぱっと言え」
「……このルディブリアムの一番地下に、一つ建物があるんじゃ」
「テラスホールに大きい時計があるのは知っておるじゃろう? シンボルにもなっておるしな」
「その時計の、時計塔動力室に、一匹のモンスターが侵入したんじゃ」
「普通は入れないんじゃが、どうやら次元の亀裂なんぞという素敵な溝が空いていたらしくての」
「そのモンスターは……ビシャスプラントと言われておる」
「本来はひ弱なモンスターらしいが、何せ、あんな巨大な時計を動かす動力源。それを吸い取って強大化したらしいぞよ」
「らしいってなんだよ、じいさん知らねえの?」
「これまでにも討伐者はいくらでも出ておる……だが、帰ってきたものは一人しかおらん」
「で、その一人が、情報いい残して死んだってか?」
「いや、わしじゃ」
「「……はぁ!?」」
「話を聞くのに徹していた俺でさえ驚きましたよ!!」
「わし、こんな年じゃろ? なのに、ルディブリアム主催の滑舌コンテストの一位を、二十年間しか守り続けれてない理由が、それじゃ」
「怪我して帰ってきたせいで、一年だけ出れない年があったんじゃよ」
「じゃあなんで、らしい。なんだよ」
「昔の事すぎて覚えてないからじゃ」
「何年前からビシャスいるんだよ!!」
「二十一年くらい前からかのう?」
「じいさん……それもうビシャスは平和に暮らしてるぞ……それ」
「まあそうなんじゃよ。平和に暮らしておったらいいんじゃがな、最近テラスホールで働いてる従業員に怪我人が多発しておる」
「怪我した従業員に聞くと、熊さんのぬいぐるみがハイキックかましてきたなんぞとぬかすんじゃ」
「議論した結果、ビシャスプラントが溜めたエネルギーを使って、人形に命を吹き込んだことになった」
「聞くだけなら素敵能力じゃが、被害が出ておるのでどうにもならんのじゃ」
「と、いうわけで、さくっと殺ってきてくれ」
「何人も帰ってきてないってかなり不安になったぞ……まあいいや、メルくれメル。まずはそれからだ」
「がめつい若者じゃのお……まあ欲に忠実なのも好きじゃが」
……
…………
日はとっくにくれ、今はお月様の光だけが頼りな丑三つ時。
「……なぁ」
「はい? なんでしょう」
「今何時だよ……」
「神は言っている―――お月様の光だけが頼りな丑三つ時だと―――」
「とりあえず三時か……朝の」
「ええ……朝の三時です」
「修学旅行先で緊張やら興奮で寝れない学生かよ」
「俺達の場合、めんどうやらメル欲しいやらで寝れない冒険者ですね」
「確かに……けど俺は少し緊張も混じってあげてるぞ」
「正直言うと俺もですが……やっぱり実際戦う時はペラペラしゃべるんでしょうね」
「そりゃあ、無言で戦っても面白味がないだろう」
「ですよねー」
「……とりあえずここにコーヒーがある」
「うお、描写一切無しの突然告白ですね、俺今ベッドに座りながら話してると思ってましたよ」
「何を言っている、ここは村長の家の台所だ」
「今思ったら、ルディブリアムって村っぽくないのに村長っておかしいですよね」
「確かにな、昔は村で、村長が生きてる間に大繁栄したとか」
「げっきょさん妄想力半端ないです」
「これくらい常識だ、あのじいさんかなり老いてるし」
「そうですねえ……げっきょさんも最初に比べたら、かなり口調が柔らかくなった気がします」
「……脈絡がまったくないが、確かに自分でもそう思うぞ」
「お、変なところで素直なんですね」
「あ? 俺ほど目の前にある曲がった物全般が土下座しにくるほど素直なやついねえよ」
「そうですかねえ……」
「ったりまえだ、お前の前では驚くだろうから曲がった物全般には注意しといたんだが」
「ところでげっきょさん、コーヒー冷めてません?」
「あっー! お前がいらねえ事言うから!」
「俺はただトークを楽しんでいただけですよ?」
「死ね! 昨日の朝も思ったけど死ね!」




「若者達よ、素晴らしい昼じゃぞ」
「……昼に起こすとは気が利くじゃねえか」
「丁度零時頃におぬしがコーヒー豆相手に格闘しているところを見ていたからの。あの調子じゃと三時間後くらいに飲めたという所か」
「うっせえ、俺はいつも自動販売機さんのコーヒー飲んでるんだよ」
「自動販売機さんのといえば、前にゼリー状になった奴があったぞよ」
「それ既にコーヒーじゃねえよ」
「……あの」
「何だよ」
「そろそろ、ビシャスプラントを倒しに行きません?」
「……忘れてたとか言わないんだからね!」
「げっきょさん誰ですか……」
……
…………
………………
例の如く、テラスホールを淡々と降りていく二人。
G.ファントムウォッチがいた所をスルーし、更に下へ降りていく。
「ほら見ろ、まだまだ続くよどこまでもーってな」
「はぁ……面倒くさいですねえ」
「確かに、何故だかわからんがビシャスだけじゃない気もするしな」
「変なフラグ建てるのやめてください」
「すまんすまん」
「……あ、見えてきましたよ、いかにもそれっぽい場所が」
なっとおが指差した場所には、時計をモチーフにしたような建物があった。
それに到達するまでには、椅子と蛍光灯が、椅子一つの両端に蛍光灯が二つといった具合で、等間隔に設置されている。
入り口は一つだけで、空いたままになっていた。
「なんだ……休憩していけってか?」
「ご好意に甘えましょうか。昨日、げっきょさんはコーヒーに悪戦苦闘した所為で、起きるのが遅かったでしょう? なので、寝ている間におにぎり握ったんですよ」
「なんという準備万端」
「えへへ」
「それじゃあその、暖かく白い、固まったものを食べようか」
「あんまり上手くないです」
「おにぎりは美味いぞ」
「ありがとうございますー」
「うお、二個目は何と、伝説の塩だけおにぎり」
「一番シンプルと思いますけど」
「うっせえ、俺は昆布を中に詰め込まないと、おにぎりの声が聞こえるんだ。『昆布入れろー昆布入れろー』ってな」
「物凄いおにぎりですね」
「愛情込めて作ってるから、命宿るんだよ」
「ビシャスプラントと同レベルですか」
「俺のおにぎりは危害を加えないから俺の方が上だ」
「カッケェ」
「褒め言葉なら俺に言うな……おにぎりに言え……」
「おにぎりさん今居ません」
「ならばしょうがないな、俺に言ってくれ、伝えておこう」
「カッケェ! おにぎりさん超カッケェ!」
「……褒められた気がしないぞ」
「げっきょさんは褒めてないですからね、おにぎりさんを褒めてるんです」
「……そうだったな!!」
……
…………
「すっかり時間を潰した気がします」
「おにぎり対談があそこまで盛り上がるとは……」
「最終的に、塩と昆布の一騎打ちでしたね」
「俺らは今から、ビシャスプラントとかいうのと一騎打ちだ」
「こっちは二人ですから一騎打ちじゃなくないですか?」
「あーそうだな、それじゃあ日記打ち?」
「何か生徒会で書記でもやってそうです」
「俺は残念ながら書記は遠慮だ……とりあえず行くか」
「そうですね……あまり脱線しすぎても時間もったいないですし」
「おう」
そして、長い休憩を終えたげっきょとなっとおは、もう一度歩き出し、空いたままの入り口の中へと入っていった。



「おじゃましまーす」
「ビシャスプラントさんはご滞在でしょうかー」
「すいませーん、ビシャスさん今は寝ていますんで……」
「え、あなた達どちら様」
「あ、私がゲートキーパーというものです。で、こっちがタナトスです」
「…………どうも、タナトスです……」
ゲートキーパーと名乗ったモンスターは、顔の部分に加え、腹の部分にも顔があり、左肩には大きな盾のようなものが付いており、右手には巨大な斧が持っている。
タナトスと名乗ったモンスターは、手が細く足が無い。更に目が一つしかなく、その代わりかは分からないが、口がほぼ360度空いていた。
「え……っと、何故ビシャスさんの代わりに、あなた達が?」
「ビシャスさん今寝てるんですよ……子守なんです……」
そういい、ゲートキーパーは、光り輝いている球の方を指差した。
「時間の球っていうんですけどね……あそこで一日二十時間くらい寝てらっしゃるんですよ……」
「それまであなた達のような、恐らく討伐者から守るのが役目なんですよ」
「あ、はい。俺達一応討伐しにきたんですけど、寝てるなら待ちますよ」
「え? 本当ですか? それならありがたいです。他の人達はせっかちでねえ、仕方なく相手するんですけど、あなた達のような人なら、ビシャスさんが直接相手したほうがいいでしょう」
……
…………
「ぐーすかぴー」
「げっきょさん、わざとらしい寝言いわないでください」
「すいませんね……うちのビシャスさんが遅いばっかりに……」
「いえいえ、ごゆっくり」
「…………お客様を待たせるにはいかないから、ちょっと起こしてみる……」
「……あっ! タナトス!」
ゲートキーパーの声を無視し、タナトスが、時間の球に触れた瞬間――
ボンッ、という音と共に、次の瞬間にはタナトスが消し炭になっていた。
「あぁ……やっちゃった」
「ん……おはよう……あれ、タナトスさんは」
「死にました……」
「えっ、何その急展開」
「あの時間の球ね……私達がやられても大丈夫なように、触れたら触れた人が死ぬようにできてるんです」
「何それ……あんたら守ってる意味ないじゃん」
「武器とかなら触れても大丈夫なんですよ……だからそれで破る人も出てくるらしいです」
「へー……え、タナトスさんはそれ知らなかったの?」
「彼は先週入ったばっかりの新人だったんですよ……」
「そうだったのか……」
「ご冥福をお祈りしましょう……」
「……ところで、ビシャスさんまだ?」
「そうですねえ、もうすぐ起きそうですし、もうしばしお待ちを」
「あと一時間くらいならまってやる」
「一時間もあれば起きますよ、多分ね」
……
…………
「ん……げーときーぱーおはよう」
「お、ビシャスさん起きましたよ」
ビシャス、とさきほどから呼ばれていたモンスターは、時計塔のエネルギーを吸った影響か、時計にそのまま手が生え、その上に本体と思われる生物が乗っていた。
「やっとか……ビシャスさん、あんたを討伐しにきたげっきょでーす」
「そういえば討伐しにきたんでしたっけ……どうも、なっとおです」
「んー……げーときーぱー、この人たちだれ?」
「この人達はですねえ、ビシャスさんを倒しにきたらしいですよ? ちょっと闘ってくれますか?」
「ん……いいよ」
「おう、ものわかりのいいビシャスさんは好きだぜ」
「というより、思ったより口調が子どもで闘いにくいんですけど……」
「何いってんだ、最低でもこいつ二十一歳だぞ」
「……俄然やる気出てきました」
「私は傍から観戦しておりますので。安心してください、手は出しません」
「ものわかりの良い奴は好きだぜ、それじゃあやろうか、ビシャスさんよ」
「わかったー」
……過程はどうであれ、最終決戦であろう戦いが始まった。



「最初からそこそこで行くか?」
「ええ、ジェネシスはさすがに控えますが」
「じゃあ、マジェ……これも久々だな、あいつの時よりは抑え目で……!」
げっきょはビシャスプラントの方に標準を定め、暴風の矢を撃ちだす。
その大量の矢はそのままビシャスプラントの方へ飛んでいき――
「痛い! あいたたたたたた!!」
そのまま、ビシャスプラントの乗っている時計に全てがヒットした。
「んー……? 感覚は共有してるのか……」
「それじゃあ、どこ狙っても同じですね」
「ああ……だが、矢を全部受け止めて、痛いだけで済んでるからな。あいつ、強いぞ」
「そうですね……もう一度KEQします?」
「何だよKEQって……」
「クァンタムエクスプロージョンの略ですね。Gさんを溶かしたアレです」
「おお……俺相手しとくからもっかい溜めろよ。十分くらい」
「そうですね、そのくらいたったらひきつけてきてください」
「護衛といってはなんですが、俺も召還獣出します……バハムートさーん」
『はーあーいー』
「久しぶりですね、ちょっと護衛してもらえません?」
『会話に脈絡がまったくないですが、いいでしょう』
「どうも」
「……お前も出せたのかよ」
「えへへ、不死鳥さんだけでいいかな、と思いまして。けどここでは出し惜しみしない事にしました」
「そりゃあ良い考えだ。……ほら、不死鳥さんこいよ」
『うおー!! ダイナマイトブルー勝ったあ!!!』
「おお、また同じ馬か。お前ダイナマイトブルー好きなんじゃねえの?」
『あれ、またげっきょさんですか……最近頻度高いですね』
「まあな。で、お前ダイナマイトブルー好きだろ」
『えへ……。実は好きでした』
「ほれみろ、……まあいい、目の前に時計に乗った青いのいるだろ? あいつと殺りあうぞ」
『へいへい』
「痛いのやっと引いてきたや……何お話してるのー?」
「最近の馬についてな、話し合ってたんだ」
「馬はちょっと分からないや……とにかく、続きやろ!」
「おう、ノリのいいビシャスは好きだぞ」
そういい、げっきょはビシャスに急接近する。
「弓だから接近戦は無理なわけじゃないんだぜ?」
げっきょは走りながら弓をひき、四本同時に矢を放つ。
そして、怯んだ隙にビシャスプラントの懐に潜り込んだ。
「そんな所にいたら……!!」
ビシャスは両手を叩くように、その真ん中にいたげっきょを挟もうとするが、げっきょが後ろに距離をとり、なんとか交わす。
「っち……モータルは無理か……あれ強いのに」
「おー、お兄ちゃん速いね!」
「弓は足、速いんだぜ? 覚えときな」
言うと同時、げっきょは先端に火がついた太めの矢を、天井に向けて何本も高く撃ち上げた。
その数、およそ五。
矢は最高度に達して落ちると共に、一本につき六本ほどに分裂し、火の雨となってビシャスプラントに襲い掛かる。
「すげー、雨だ雨だ! 掴めるかな!」
「……何?」
ビシャスプラントは、合計三十本になった火の雨の何本かを、その両手で掴みとり、
「うおーすげー、雨って掴めるんだ!! ……投げてみよ!」
ビシャスプラントが、その雨を今度は真横に。げっきょの方に向かって投げた。
「……!?」
ビシャスプラントが投擲した矢は、火の残像が残るほどのスピードで放たれ、そのうちの一本がげっきょの左肩に命中し、鮮血が溢れ出る。
「っぐっは……ッ!?」
「大丈夫ですか!? げっきょさん!!」
なっとおの声が聞こえるが、げっきょは無視をし、
残りの右肩で左肩を押さえ、よろめきながらもまた移動を始める。
「……っへ、三匹目でやっとまともなダメージかよ……こりゃ侮れねえ……」
「ぐるぐる回ってるだけじゃ意味ないよー?」
ビシャスプラントはげっきょの動きを追い、追いついたところで両手を握り、後ろから叩きつけるようにげっきょもろとも地面を破壊する。
「それは……どうかな?」
「んー?」
確実に、感触さえあったビシャスプラントの両手の下から出てきたのは、藁の人形だった。
「……ふう、ビシャスさんがその藁を相手にしてくれてる間で、包帯をまきまきできたぜ」
「……更に」
「熱っ!?」
ビシャスプラントの背後。そこから不死鳥が高温の火炎放射を口から出す。
「……もう!」
『ひゃ!?』
ビシャスプラントが熱がり、手を振り払うようにする動作に不死鳥が当たってしまい、まぬけな声を出して元の居た世界に強制送還される。
「あいつだせえ……まあ、これで手当ては十分だ」
左肩にきつく包帯を巻き、そこからは既に、血が滲みでていることなんてげっきょは気にせず、またもやビシャスプラントと対峙する。
「不死鳥さんは痛そうだったしな……銀鳥さん俺の事覚えてるかな!」
『……久しぶりです』
「おお、覚えてくれてたか」
『……ええ、これだけ印象的なマスターはあまりいませんよ』
「どうも……まあ、話してる時間はねえ、目の前の時計。殺るぞ」
『……御意』
「銀鳥さんのスタン能力、期待してるぜ」
『あれほど強大な力を持つ敵に通じるか分かりませんが、やってみましょう』
打ち合わせを終えた一匹と一人は、それぞれビシャスプラントの両端に周る。
げっきょは右。銀鳥は左。
「……んー?」
ビシャスプラントが、どちらを狙うか見定めているので時間はある、と思ったのか。
げっきょはポケットから火薬をとりだし、早急に矢の中に詰めた。
「……久しぶりだから湿気ってないと良いがな」
導火線に火をつけ、そのままビシャスプラントに向けて撃つ。
「何ー? これはさすがに受け止めれるよー」
軽々とビシャスプラントが、矢を受け止めた瞬間。
ドンッッ!!! という爆発音と共に、ビシャスプラントの周りが煙に覆われた。
「けほっ! けほっ!」
「今だ銀鳥」
『……御意』
銀鳥のくちばしが光り、より一層尖った、長くなったものになってゆく。
それを煙がひく寸前、精一杯まで続け、ビシャスプラントの頭が見えた瞬間、銀鳥は飛び出す。
周りを見渡すビシャスプラントの死角から、銀鳥はビシャスプラントを刺した。
「やっと見えてきた……いってぇぇぇ!!」
「今までで一番痛かったかも……こら!」
『!?』
煙がひくまで待ったのが不幸の始まり。銀鳥を視界に捕らえたビシャスプラントは、そのまま掴み取り、握りつぶしてしまった。
『マスター……すみません……また、いつか……』
銀鳥も、消える。
「ちょっと頭痛いまんまだな……」
「よっしゃ、よくやった銀鳥さん。十分だ」
そう、ビシャスプラントが言うのを待ちわびていたように、げっきょは銀鳥と同じ程、否。それ以上にためた暴風の矢をビシャスプラントに向けて惜しげなく放出した。
その量。風速五十メートルほどの、台風が来ている時に降っている雨の量。それをはるかに凌駕している。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!」
痛がるビシャスプラントが逃げた方向――それは――
「なっとお……あとは……頼んだぜ……」
「こんな所で名前で呼ばないでください……だけど分かりました」
迫ってくるビシャスプラントの影に、地面に倒れるげっきょの姿が映る。
だがかけよったりはしない。今は自分の与えられた事を、遂行するだけ。
『そこの時計さん? ちょっとお止まりくださいませ』
「へ?」
バハムートが口から光線を出し、ビシャスプラントの動きが止まる。なっとおが、ビシャスプラントの懐に入るほどの距離で。
「十分どころかもっと溜まりましたよ!! こんな威力は初めてです!!」
「いっけぇえええええええ!!」



――音が消える。光が消える。五感全ての感覚が消える。
その状態が五分……いやそれ以上か、それ以下か。永遠にも感じられた。
だが、始まりはいつかやってくる。
しばらく経つと――五感全ての感覚が、舞い戻って来、なっとおとげっきょは目を開けた。
「……やり……ました?」
「なっとお……それを言うな……死んでるものも生き返っちまうぞ……」
「……ふふ」
「? ……何を笑っている」
「いや……げっきょさんがやっと、名前で呼んでくれたな、って」
「そんなこと……まあいい、ビシャスさんの生存を確認しろ」
なっとおが目の前をみると、乗っていた時計は完全に吹っ飛び、本体の青いモンスターだけが、血だらけで倒れていた。
「……ありゃー……生きてるのは生きてますね」
「っち……しぶといやつだ……始末するぞ」
「……殺さ……ないで」
「……すまん、無理だ」
よろよろと立ち上がったげっきょが、標準をしっかりと定めたあとに、暴風の矢を撃った。
傷だらけの体に更に矢が刺さり、ビシャスプラントは、息を――途絶えさせた。
「ありゃー……ビシャスさん死んじゃいました?」
「ああ……今なら俺らも簡単に殺せるがな」
「そんな事はしません。ぶっちゃけこれ仕事ですし。それに、一日二十時間以上寝てるんですよ? 接点なんてありゃしません」
「お前以外と冷酷なんだな……」
「いえいえ、プライベートと仕事は分けてるだけですよ」
「それは良かった。それじゃあな、ゲートキーパーさんよ」
「はい、さようなら。お元気で」
「ああ、達者でな。んじゃ、いくぞなっとお」
「……はい!」
その場に佇むゲートキーパを残し、げっきょがなっとおに肩を貸してもらいながら、その場を後にした。



「これを言うのも最後と思うんじゃが……ヒョエー!!!!!!」
「既にお決まりだな」
「ですね」
「それにしても……あのビシャスプラントすら倒してしまうとは……」
「一発技あったから倒せたようなもんだよ」
「ええ、げっきょさんがひきつけておいてくれたおかげです」
「なっとお。ええ、ってのは同意する時に使うもんだ。お前同意してねえ」
「……? はて、お主、なっとおの事をなっとおと呼んでいたかのう?」
「……しらね、覚えがないんなら記憶障害の疑いでもあるから病院にいったほうがいい」
「……そうか、それはよかったのお」
「あ? じいさん、病院行くのがなんでいいんだよ」
「若いもんにはまだわからぬよーい、あのナースさんの豊満な……」
「……どうでもいいから早くメルよこせメル」
「あ……すっかり忘れていましたけど、げっきょさんの元々の目的ってこれなんですね」
「まあな……それはそうとなっとお、後で話がある。メルをもらったあとにな」
「……はい」
「……ってわけで、早くじいさんメルよこせメル」
「そうか……お主達の部屋に運ばせておく。風呂にでも入って部屋に戻ればそこは金庫と同等じゃ」
「……あいよう」
……
…………
そして、二人がお風呂に入り、部屋に戻ってくる。そこには、大量のメル袋が、所狭しと並べられていた。
「oh...本当に金庫並だな」
「あのおじいさんのどこにこんなお金があったんでしょう」
「しらねえ……ところで、話」
「……はい」
なっとおは覚悟していた。
この一夜が明ければ、もうげっきょとの接点は無くなる。
元々、バイキング討伐の話にのっかられたのが始まりなのだ。
ついでに、ついでにと長引いてきたが、その関係も今日で終わり。
心の準備は、していた。
「その……さ」
「……はい」
げっきょがメル袋から硬貨を一枚取り出し、人指し指を立て、その前で硬貨を何度か空に切らせる。
「……何をしているんですか?」
「えっと……正直、恥ずかしいんだけど……」
「…………お前との糸、切れなくなっちゃった……」
刹那。
なっとおの涙腺が、無意識に崩壊していた。
心の準備はしていたのに。我慢はできる予定だったのに。
あまりにも違うげっきょの答えに、なっとおの目からは、自然に涙が溢れ出ていた。
「え……? 今、なんて……?」
「だから……この糸……なんか太くなっちまって……」
「それじゃっ……、これからも……、一緒……にいて……くれ……るんです……か……?」
「まあ……そういうことになる……」
「……うぇええええん!!」
なっとおは目の前にいるげっきょに抱きつく。
「こら、泣くのはかまわんが……服が濡れ……」
「だめ……です……無駄に……泣かせた罰……なんですから……」
「っち……しゃあねえな……」



なっとおが延々と泣き続けた夜が明け、朝。
「起きろ、なっとお」
「ん……げっきょさんおはようございます」
「今日で終わりだぞ」
「……そうでしたね」
「……今だから聞きますが、その装備達には思いいれがあるんですか?」
「……そうだな、これは簡単に言うと……」
「今まで、俺の事をよくしてくれた人たちの、装備だ」
「ある人は、もっと高みを目指すといって、茶頭巾をくれ、去った」
「ある人は、彼女ができたとかいって、喜びすぎた余韻かは知らんが、ボロボロの靴をくれたあとに、彼女さんと一緒にどこかに行った」
「ある人は、俺の思い人だった……この手袋をくれた人がな」
げっきょが手袋を軽い感じで指差す。
「……相手は、誰だったんですか?」
「こんなボロボロの靴をよこした野郎だ」
半分笑いながら、げっきょは言った。
「……幸せなんでしょうか」
「さあな。けど、幸せになってなかったらぶち殺しに行く。今からでも」
「……そうですか。げっきょさんらしいですね」
「っへ、まあな」
……
…………
………………
……………………
「短い間じゃったが、さびしくなるのう……」
「大丈夫ですよ、一年に何回かは遊びに来てあげます」
「ああ、ルディブリアムに遊びにきたときには、思いっきりタダ寝の場所として使わせてもらうぜ」
「ほっほ、わしが生きている間なら構わんぞ」
「……じゃあな、じいさん」
「さようなら、おじいさん」
「元気でな、若者達よ。当たり前じゃが、わしよりは長く生きるんじゃぞ」
「ったりめーだろ」「当たり前ですよ!!」
――そして、両手一杯にメル袋を抱えた若者が、ルディブリアムを旅立つ。


朝日によってできた影は。






二つ。







重い?しらんなあ
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  1. 2010/11/11(木) 19:03:02|
  2. 小説の別の
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

今回も楽しく読ませてもらったぜ!
今までとはちがうメイポで
若干感動したぜ!
感想書けハゲカス野郎言われたけど
難しいんだぜ…
げっきょsは男でも大丈夫なのかな!って思ったぜ!
げっきょs普通に小説とか書いたら佳作とか入賞とか色々するんじゃないかな?

一度でいいから書いてみたりすれば?d(・ω・`)
  1. 2010/11/11(木) 20:20:07 |
  2. URL |
  3. シンジ #-
  4. [ 編集 ]

28282828( ^ω^)

呼んでるとマジ俺ヘタレェ…
なんかリアの俺見てる感じだz(´・ω・`)
  1. 2010/11/11(木) 22:24:16 |
  2. URL |
  3. なっとぉ #-
  4. [ 編集 ]

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